2023 信州eye基金
2023.07.04
当財団では、長野市に在住されていた女性の方からの遺贈寄付を原資に、2021年度に信州eye(アイ)基金を設立しました。
当基金では、遺贈寄付者のご意思に基づき、県内の視覚障がい者の学びや暮らしを応援する非営利の民間団体の活動に助成します。
<2023.9.26 結果発表>
2023年度「信州eye基金」の助成先団体を次のとおり決定しました。
助成先団体数 8団体
助成決定総額 5,100,000円
審査委員総評
・多角的な分野から各々特徴ある申請があり、当事者にとって未だ様々な社会的障壁があること、細かいところで多種の取り組みが必要とされていることをあらためて実感させられた。
・研修や普及啓発等では謝金や交通費の比重が大きくなる。最終的に多くの当事者へその事業の恩恵が届くよう、効率的かつ効果的に活用してほしい。
・自団体の活動範囲に留まらず他の団体との連携や共同実施を模索し、異分野と関わることで支援のオープンイノベーションにつなげてほしい。
<審査結果>
団体名/所在地 | 事業名 | 助成決定額 |
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長野盲学校PTA/長野市 | 学びの充実プロジェクト | 850,000円 |
解決したい課題 | ||
全盲の児童生徒は墨字図書にアクセスできない。理科学習で弱視の児童生徒は顕微鏡観察に苦労している。理療科の骨格標本は老朽化し、鍼治療の機器は持ち運びが困難である。経済的理由で活動保険加入や資格取得をためらう家庭がある。 | ||
事業の内容 | ||
学習備品を整備(墨字を音声で読み上げる音声読書機、映像出力付きの顕微鏡、小型骨格標本、持ち運び可能な鍼電極低周波治療器)。活動保険加入や資格取得を補助。 | ||
達成したい成果 | ||
児童生徒は知りたい情報を墨字図書から獲得できる。弱視の児童生徒が顕微鏡で観察でき、見えるものを共有できる。模型の充実で骨格構造の理解を助ける。軽量の新治療器で外部臨床実習を拡充する。全家庭が活動保険へ加入し、また児童生徒の資格取得の意欲を後押しする。 |
団体名/所在地 | 事業名 | 助成決定額 |
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松本盲学校PTA/松本市 | 視覚障がい応援事業 | 516,000円 |
解決したい課題 | ||
道具不足から、保護者や交流校ボランティアへの点字学習の啓発活動が停滞している。視覚障がいスポーツや弁論大会は児童生徒の貴重な外部交流・活躍の機会だが、当事者人口の少なさから県外遠征が必須で、家庭の負担が大きい。 | ||
事業の内容 | ||
保護者やボランティアにパーキンス(点字タイプライター)で点字学習会を月数回開催、普通校の中学・高校にも出張講座。高等部生徒がフロアバレーで北信越(長野)・全国(静岡)、弁論大会で関東甲信越(新潟)・全国(秋田)に参加。 | ||
達成したい成果 | ||
パーキンスの複数台導入により、保護者やボランティア学生に対し、点字学習の参加人数や内容を拡充する。スポーツ・文学の大会参加時の負担を軽減し、生徒たちの全国大会への意欲を応援する。 |
団体名/所在地 | 事業名 | 助成決定額 |
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AT&D Lab./長野市 | 点字独習システムの開発 | 779,000円 |
解決したい課題 | ||
視覚障害のある児童・生徒は自身の読み取りの正否を判断できず、点字の独習は現状困難である。墨字による正答併記では晴眼の指導者の読み上げを要する。一方、盲学校等にある点字のみの教材は、一般晴眼者に読解できない。 | ||
事業の内容 | ||
カードに記録した短文を発話できる、開発済みの「Card to Speech」を改良。長文情報への対応、学習に適した機能(巻戻し・早送り等)を付加。試作機を県内盲学校へ貸出しテスト。完成品を県内盲学校や点字独習者に提供。 | ||
達成したい成果 | ||
点字と墨字の併記に発話情報を加えた新教材を開発する。この教材と発話装置により、指導者不在でも独学が可能となり、短期間での点字習得を支援できる。また晴眼者の点字読解を助け、視覚障害者に対する理解を向上できる。 |
団体名/所在地 | 事業名 | 助成決定額 |
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美須々ケ丘セミナー/松本市 | 美須々UDR応援プロジェクト | 461,000円 |
解決したい課題 | ||
本校の全盲生徒が他の生徒と同じように学習やクラブ活動に取り組めるようサポートが求められる。昨年度同様、学習教材の点訳のためのデータ化に加え、クラブ活動(軽音楽クラブ)では当事者に危険のない環境づくりが必要である。 | ||
事業の内容 | ||
教科書以外の副教材のデータ化に生徒が参加。また、軽音楽クラブ生徒らの自発的な提案で、音響機器の配置配線を変更、機材保管の場所・ルールを設定。全盲生徒が安全に活動できる環境を全員が主体的に整備。 | ||
達成したい成果 | ||
副教材データ化への参加から、生徒が支援について考えるきっかけを創出する。全盲生徒が音楽クラブで活動する上での安全性を確保する。生徒の自主的な発案から支援を具現化し、共生社会や多様性に対する理解を促進する。 |
団体名/所在地 | 事業名 | 助成決定額 |
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声の広報 ボランティアグループ/飯田市 | 視覚障がい者にお届けする声の広報 | 539,000円 |
解決したい課題 | ||
飯田市の視覚障がい者に市の情報を届けるため、声の広報(音訳CD)を制作している。現況、音訳機材は老朽化で故障が頻発している。旧式機器の扱いにくさもハードルとなり、朗読以外の録音・編集・ダビング担当人材が不足している。 | ||
事業の内容 | ||
現環境で月例の活動を維持しつつ、新システムの研修を並行実施、これを機に人材を育成。ダビングは年内、録音・編集は翌4月までに新機種へ移行。半年で新体制を構築し、次年度から効率的な作業を開始。 | ||
達成したい成果 | ||
音訳CDによる迅速かつ正確な情報提供を行う体制ができる。録音・編集・ダビング担当人材を育成し、安定した活動を維持する。加えて、季節感のBGMやジングルの追加等、視覚障がい者にとって文化的で豊かな内容を提供する。 |
団体名/所在地 | 事業名 | 助成決定額 |
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特定非営利活動法人 わっこ自立福祉会/上田市 | 同行援護従業者養成研修 | 850,000円 |
解決したい課題 | ||
介護保険法の報酬改正で、視覚障害者の同行援護サービスの提供者が減少している。上田市内でも需要や緊急時に対応できる支援者の絶対数が不足しており、視覚障害者の外出や社会参加に悪影響が出ている。 | ||
事業の内容 | ||
福祉専攻の高校生・大学生や支援希望者を対象に、同行援護従業者養成研修を実施。当事者や専門家を交え、実践的な講義を実施。学生は受講料免除、社会人は一部負担。活動賛同者のスポット参加も可。 | ||
達成したい成果 | ||
資格で障害者福祉への就労を促進する。研修修了者がネットワークを構築、ボランティア活動へ発展する。同行援護従業者が増え、当事者が安全に外出できる地域を実現する。当事者の社会参加が視覚障害への社会認知を向上する。 |
団体名/所在地 | 事業名 | 助成決定額 |
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まるっとみんなで準備室/軽井沢町 | まるっとみんなで映画祭 2023 in KARUIZAWA | 707,000円 |
解決したい課題 | ||
軽井沢でも視覚障害者の文化芸術へのアクセシビリティは低く、特にソフトのバリアフリー整備が不十分である。コロナ禍で触覚ベースの認知・コミュニケーションが阻まれ、視覚障害者の社会的孤立は深刻化している。 | ||
事業の内容 | ||
地域の視覚障害者の社会障壁を事前リサーチ、ウェブで全国に情報発信し啓発。音声ガイドつき映画の上映会、視覚障害者と晴眼者の感想シェア会を開催。移動困難者に駅からの送迎バスや同行援護サービスを提供。 | ||
達成したい成果 | ||
晴眼者のものになりがちな映画祭を「みんなのもの」へ変化させる。視覚障害者の鑑賞体験を当事者、支援者と共に追求する。毎年実施を目指し、視覚障害者の積極的な社会参加や視覚障害への理解を促進する。 |
団体名/所在地 | 事業名 | 助成決定額 |
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一般社団法人いっぽん/北海道札幌市 ※本事業の活動拠点は長野市 |
拡大字・点字普及プロジェクト 担い手育成事業 | 398,000円 |
解決したい課題 | ||
当団体では飲食店の「点字メニュー」や名刺点字の普及を推進している。視覚障がい者は墨字のメニューや名刺を利用できず、バリアが存在する。長野でプロジェクト継承を希望する地元団体はあるが、協力者が不足している。 | ||
事業の内容 | ||
地元団体に点字メニュー制作と導入フローを継承。点訳作業は将来的に市内人材を活用。名刺の点字打刻ワークショップを継承団体と開催。メニュー導入店やワークショップ参加者に声掛け、プロジェクトの担い手を確保。 | ||
達成したい成果 | ||
点字メニュー導入店は増え、視覚障がい者の外出機会や社会接点を創出する。名刺への点字打刻から、晴眼者と視覚障がい者の相互理解・コミュニケーションを促進する。本事業終了後も長野の団体によりプロジェクトが継続発展していく。 |
助成対象団体 | 長野県内を事業拠点とした、特定非営利事業法人・ボランティア団体・公益法人・社会福祉法人・学校法人・地縁組織・協同組合などの公共的事業を行う非営利の民間団体(社会貢献事業を行うために、企業等で構成する任意団体も該当します)。なお、コース別の要件については次のとおりとします。
(A) 「学びたいを応援」:県内の視覚障がいを有する児童・生徒の学習支援に資する活動 (B) 「暮らしを応援」:県内の視覚障がいを有する者への全般的な支援に資する活動 |
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助成対象となる活動 | (A) 県内の視覚障がいを有する児童・生徒の学習支援に資する次の活動 ① 大学等進学奨学金 ② 特別支援教育就学奨励費の国庫補助対象のうち、限度額を超過した費用への補助 ③ 幅広い学びに対する支援(漢検・英検等将来に活かせる資格取得等) ④ その他、県内の視覚障がいを有する児童・生徒の学習支援に資する活動 (B) 県内の視覚障がいを有する者への全般的な支援に資する次の活動 |
助成金額及び採択団体数 | (A) 県内の視覚障がいを有する児童・生徒の学習支援に資する活動 1団体あたり上限85万円(採択予定数:2~4団体程度) (B) 県内の視覚障がいを有する者への全般的な支援に資する活動 ※本助成の申請に際して自己資金の計上は必須ではありませんが、事業によって計上いただくことは可能です。(例:助成金85万円+自己資金15万円=総事業費100万円) |
助成対象となる経費(対象経費) | 活動に直接必要な費用、学費等、研修費、改装費、備品購入費(事業の目的に関連する備品)、人件費(活動の実施に必要な範囲に限る)、その他この制度に沿うと判断される使途。 |
助成の対象とならない経費(対象外経費) | ① 団体の経常的な運営経費・公共料金・交通費など日常的な経費 ② 継続的事業で、一部助成しても次回からの見通しが立ちにくいもの ③ 高額機器・機材の一部で、助成しても購入できないもの ④ 既に終了した事業やその欠損補填 ⑤ 本活動期間外に支出した経費 ⑥ その他事業を実施する上で適当でないと認められる経費 |
申請方法 |
① 当ページから次の様式をダウンロードしてください。 ・「助成申請書(様式1)」(Microsoft Word形式) ・「事業計画書(様式2)」(Microsoft Word形式) ・「収支予算書(様式3)」(Microsoft Excel形式) ② 上記様式3点の各項目を入力の上、印刷・押印し、原本と電子データの双方を長野県みらい基金松本事務所へ提出してください。(電子データはファイル形式を変えず、編集可能な状態で送付してください。また電子データに印影は不要です。) 【原本送付先】※8月8日(火)必着 【電子データ送信先】※8月8日(火)必着 なお、本助成金の申請にあたっては、「長野県みらいベース」への団体登録(有料2,000円)が必要です。登録は随時受け付けていますので、未登録の団体は申請に合わせて登録手続きを行ってください。団体登録の方法は、こちらをご覧ください。 |
審査方法及び助成金の支払い | ・事務局による申請要件・資格確認後、第三者審査委員会にて審査します。審査結果は、長野県みらいベース上で公開するとともに、申請団体宛て書面で通知します。 ・助成金は、採択後に助成金申請書(様式4)により概算払いにて支払います。事業終了後に精算の手続きを行いますが、助成金に残額がある場合にはご返還いただきます。 |
選考の主な視点 | (1) 事業の公益性 事業の目的、ターゲットが明確になっているか。また、それらが当助成の趣旨に合致しているか。 (2) 必要性 (3) 実現可能性 (4) 団体等の適格性 |
活動報告及び精算 | (1) 原則として、活動終了後1ヶ月以内又は令和6年(2024年)10月10日(木)のいずれか早い期日までに、活動報告書(様式5)及び収支報告書(様式6)を提出してください。各報告書は、取りまとめの上、個人情報を除いて公共的活動応援サイト「長野県みらいベース」上で公開します。
(2) 収支報告書(様式6)を提出いただく際には、領収書等、実際に経費を支払ったことが確認できる証拠書類(写し)を併せて提出いただきます。 (3) 経費支出の軽微な変更(目安として各予算科目20%程度の増減)は認められますが、それを超える変更が生じる際は、支出前に必ずご相談ください。(活動報告・精算時に対象経費として認められない場合があります。) (4) 事業報告書等の審査の結果、当該助成金を他の目的・用途に使用したことが判明した場合等には、交付の決定の全部又は一部を取り消す場合があります。 |
受付期間 | 2023年7月4日(火)~ 2023年8月8日(火)必着 |
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審査結果発表 | 2023年9月下旬ごろ |
助成金交付 | 2023年9月下旬~10月中旬 |
事業実施期間 | 助成決定日から2024年9月30日(日)まで |
報告様式の提出 | 事業終了後1ヶ月以内、遅くとも2024年10月10日(木)まで |
助成額の精算 | 助成金に残額がある場合には、ご返還いただきます。 |
※助成決定日前日までに発生した費用は原則、対象経費として認められません。 区分(A)「学びたいを応援」の事業に限り、申請時の事前相談にて特別な事情が認められる場合は、令和5年4月1日から助成決定日前日までの間に発生した費用を対象経費に含めた申請(事前着手)を行うことができます。 |
本助成事業は、2022年度から複数年度での実施を予定しています。募集は各年度で行いますが、同一の団体・事業でも、事前相談の上、継続申請が可能です。 (ただし、年度ごとに本助成の対象事業を変更する場合がありますのでご承知おきください。) |
お問い合わせ・お申し込みは 公益財団法人 長野県みらい基金 松本事務所 〒390-0852 長野県松本市島立1020 松本合同庁舎2階 TEL 0263-50-5535 / FAX 0263-50-6561 E-Mail matsumoto@mirai-kikin.or.jp |