こんな団体です
上田地域の活性化と芸術文化振興に寄与することを目的として、上田市の海野町商店街の一角で劇場、スタジオ、倉庫を備えた民間文化施設「犀の角」を2016年より運営しています。
演劇公演やライブなどの文化事業とスタジオ利用などの貸し館事業を主な事業として行っていましたが、コロナ禍により社会状況が大きく変化したことをきっかけに、雨風をしのげる場を街中につくろうという取り組み「のきした」を近隣のNPO等とともに始動。困りごとを抱えた女性や母子が1泊500円で宿泊できる「やどかりハウス」、支援する側とされる側を分けず、誰でも温かいご飯を食べ一緒に居られる「おふるまい」などの活動を文化事業と並行して展開しています。
主な活動のひとつとして、6〜18歳の子ども若者に向けた地域社会におけるクラブ活動『うえだイロイロ倶楽部』を2021年に創設。子ども若者たちの家庭や学校以外の居場所と自己表現できる場の提供を続けています。劇場を芸術文化の専門施設としてだけではなく、地域社会に開かれた<出会い>や<助け合い>の場として捉え直し、活用していくことで、文化的コモンズを地域社会に作り出していくことを目指しています。
活動の継続を叶えるために昨年度の「信州の特色ある学び事業・団体助成プログラム」にて初めて寄付を募らせていただきました。事業に関心を示して下さった大変多くの皆様にご支援をいただき、寄付金は目標金額を大幅に越える結果となりました。この事は我々にとって資金面だけではない大きな励みとなり、今年度も事業の継続が実現いたしました。この場を借りて厚く感謝申し上げます。
こんな特色ある学びを行っています
障害の有無や国籍を問わず、地域に暮らす6〜18歳の子ども若者が、商店街にある民間劇場施設を中心に、近隣の映画館等と連携しながらクラブ活動を行っています。学校のクラブ活動のように教員等が一方的に指導し、大会等で成績を挙げることを目的とするような従来のスタイルを見直し、自身の「やってみたい」という意思に基づいたオリジナルな活動を創り出すという劇場ならではのクリエイティブな学びを特徴としています。これまでに、自由に作り、作ったもので遊ぶ「ダンボール部」や「まちなか探検部」などユニークな学びが生まれています。参加者は学校でのクラブ活動がない小学生低学年層が最も多く、上田市全域から参加者が集まっています。また、活動場所は劇場の中だけで完結せずに、中心商店街という立地を活かして、近隣の映画館や図書館、個人商店等を出張先として活動出来るように連携することで、地域に対して本活動が“面”として広がるように努力しています。
この活動には地域住民がボランティアとして参加していますが、近隣の学校に通う高校生や大学生から社会経験をもつ大人までメンバーは多様。演劇創作における手法を活かし、ボランティアメンバーは子ども若者らに寄り添いながら、同じ目線でコミュニケーションを重ねることを大切にしています。
このクラブ活動は、街中の<民間劇場施設>を利用した<学び>の場と、学校でも家庭でもない、地域社会における子ども若者の<居場所>を提供しています。地域住民のボランティアメンバーも含めると、全世代の人間が参加することが可能で、多種多様な人材が行き交う交流の場としても機能しており、希薄化した地域社会の繋がりを再構築する機会を生み出しています。
これから予定する具体的な取り組み内容
令和6年度の参加者を4月から募集します。演劇・音楽・工作・美術・映画・ボードゲーム・将棋・冒険など、地域住民やアーティストらが担う様々なジャンルの<ファシリテーター>から提案されるプログラムを通して活動を体験する機会を楽しみ、深めていきます。また、提案されるプログラム以外にも、子ども若者自身の興味関心により新たなクラブを作ることが出来ます。
5月から活動を開始予定で、主に月2〜4回ほどファシリテーター、コーディネーターやボランティアとともに参加者の<やってみたい>に挑戦する通常活動を民間文化施設「犀の角」を拠点に行います。そのほか、地域で活動する社会人サークル、町の商店、私設図書館、近隣の映画館など、これまでに民間劇場が蓄積してきた繋がりのある店舗・施設を訪れて、地域社会と参加者が出会う機会をコーディネートします。
応援よろしくお願いします
演劇・音楽・ダンスなどの舞台芸術を発信することで社会と繋がってきた<劇場>に、子ども若者達の声が響き始めて3年が経とうとしています。活動に参加している子ども若者達は、ここでしか出会えない友人や地域の大人たちと過ごす時間やユニークな体験活動を通して<劇場>を自身の居場所として捉え、自発性と他者の多様な表現や価値観に触れながら、それぞれの表現を見つけ始めています。
継続した活動を通して発見したことは、子どもや若者がのびのびと過ごせる場が地域社会に少ないということです。これは地域社会全体の課題と言えるのではないでしょうか。
<劇場>では<家庭>や<学校>では出会うことの出来ない多様な表現、人々や価値観と出会うことができます。世界が多様であることを身近に体験することは、子ども若者が生きていく未来を描くための材料につながることでしょう。上田市の街中で劇場文化の発展と継承に携わる我々にとっても、次世代を担う子どもたちが劇場に居てくれることは大きな励みであり、未来への希望を感じる瞬間です。
ご一緒に、こどもの遊ぶ声に溢れた地域社会を取り戻しませんか?応援をどうぞよろしくお願いいたします!