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子ども支援の「いま」と「これから」vol.1

2016.12.02

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長野県みらい基金を設立して4年がたちますが、現在は登録160団体のうち57団体が子ども支援をしている団体です。今年9月で、県民から計1200万円が子ども支援の団体に寄付されていますが、もっと子ども支援に力を入れようと、こうして今日皆さんにお集まりいただきました。さまざまな分野の方々の考えや思いをお話しいただき、県民にも関心を持って自分の立場で子ども支援ができるようになってもらえたらいいと考えています。

今回は長野県みらい基金座談会として、さまざまな分野から子ども支援に尽力されている皆さまをパネリストにお迎えして、長野県の子ども支援の「いま」と「これから」について女性目線でディスカッションをしていただきました。

子どもたちの声は 「学びたい、勉強したい」

- みらい基金としては、時間に余裕のあるシニアの方々にも、一緒に取り組んでいこうと思っている企業の方々にも期待しています。そうした中で、子育てや子ども支援で何ができるのか、アイデアや考えをお話しいただきたいと思っています。

中島さん

昨年度「長野県子どもの貧困対策推進計画」を策定した際に、一人親家庭や養護施設の子どもと保護者の声の聞き取りを実施しました。その中で、長野県でもさまざまな貧困の課題があり、子どもたちの声としては「学びたい、勉強したい」が多かった一方、家庭だけで養育する機能が落ちてきていることも分かりました。これからは地域や官民協働で見ていく必要があると分かったところです。

そういう中で、県では家庭の 養育を補完する機能を高めるために、子どもの居場所をつくっていこう―と提案しています。行政は人材育成や資金支援の他、皆さんと連携して地域全体で子育てをする環境づくりの役割があると思っています。

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- 山浦さんはさまざまな経験をお持ちの経営者でもあり、ライオンズクラブでも活動されていらっしゃいますが子育て支援とつなげるには?

山浦さん

私たちの中でこれからいろいろ変えていきましょうと伝えています。今思ったのは、シニアの方たちが学校に行って子どもたちと触れ合う時間も必要ではないかということです。子どもたちが少し話しづらいことも、シニアの方たちに話せば、子どもたちの登校への抵抗も少なくなるのではないかと考えました

- 戸枝さんは、先ほどご自分の経験から、親同士でつながったことで前向きになれたという話をされていましたね。

戸枝さん

一人で抱え込んで頑張ってしまわないで弱さを自己開示することですね。弱い自分を出せる場は、自助グループである親の会です。SOSを出せることがある意味しなやかに生きる方法だと思います。「大丈夫だよ。一緒にやろうね」と支え合うことが大切です。

- 地域でうまくつながりたいと思っても、つながっていけない人もいると思います。 実際には、ボランティアをやりたい人が見つからない時にどのようにしたのでしょうか。

戸枝さん

上伊那子どもサポートセンターは、発足と同時に利便性のよい公共施設の中に 事務所を設置できたことで活動が広がりました。4年前には子どもを取り巻く環境を変えていくアプローチとしてコミュニティーカフェを作りました。すると、シニアの方たちや商店街の方たち等々、本当にたくさんの出会いとつながりが生まれました。誰でも受け入れてもらえる場づくりを行政や企業と一緒に行うことで、そこにコミュニティーが生まれて助け合いの輪が広がっていくと思います。

- 戸田さんとしては、どういうふうに切り込むとシニアの方たちが不登校に目を向けてくれると思いますか。

戸田さん

私は以前に長野市社協で働いていて、その時代から「まちの縁側事業」にずっと携わってきて、縁側という内と外の中間というゆるやかな居場所を使った場づくりに関しては、結構シニアの皆さんも高い関心を持っていると感じています。そんな中で、活動者の拠点はすごく大事だと考えていて、その拠点の中から多様な活動が生まれてくるのではないでしょうか。

「信州型コミュニティスクール」では、 先ほど山浦さんがおっしゃったように、シニアの方が学校に来るというのはずいぶん進んでいます。空き教室を使っての学習支援や、地域のおじいちゃん、おばあちゃんと昔やっていた遊びをしたり。その際、支援をするのではなく、対等につなぐことでシニアの生きがいにもつながり、子どもたちにとっては地域で顔見知りが増えます。こうして、昨日までは知らなかったおじさんが何かのきっかけで知り合いになってあいさつができるようになる―というのが地域づくりです。地域みんなで子どもに関心を持っていくと、おのずと誰もが暮らしやすい地域になっていくと思いました。

<参加者>

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    長野県副知事
    中島 恵理さん

    副知事の中島です。担当業務の一つが子ども支援です。自分自身も子育て世代である経験も踏まえながら、子ども支援に関係する部署間の連携を図りながらよりよい施策作りに取り組み、今年は子どもの貧困対策の計画をつくりました。さらに子ども支援の強化に取り組んでいきたいと思っています。

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    ハイブリッド・ジャパン株式会社代表取締役/ライオンズクラブ334-E地区 地区FWTコーディネーター
    山浦 悦子さん

    私はライオンズクラブに入会して20数年になります。クラブでは子どもたちの支援事業に力を入れていて、これから子どもたちの居場所づくりを企業と一緒に計画するところです。今日は皆さんのお知恵をお借りしたいと思っています。

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    NPO法人 子ども・若者サポートはみんぐ 事務局長
    戸枝 智子さん

    伊那市の「NPO法人子ども・若者 サポートはみんぐ」事務局長と、「ながの不登校を考える県民の会」の事務局をしています。私自身、長男が4歳の時に保育園に行けなくなり、母親たちが自主運営する松本市の子育てサークルに入会し、3年間活動したことが現在の活動につながっています。
    官民協働事業「上伊那子どもサポートセンター」ができ、当事者や不登校に苦しむ子どもたちの声を行政に届ける手段が生まれると思いました。わが子の不登校体験やさまざまな支援活動から学んだことを社会に還元したいと思っています。今回の座談会はよい機会をいただいたと思っています。

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    公益財団法人 長野県長寿社会開発センター 主任シニア活動推進コーディネーター
    戸田 千登美さん

    私は3年前から「長野県長寿社会開発センター」でシニア活動推進コーディネーターとして、シニアの社会参加(人生二毛作)の推進をしています。
    その一つのシニア大学事業は、今は2400~2500人で60~92歳のシニアの学生が学んでいます。学生たちは皆、その知識を社会に生かそうとしています。また、シニアを求める側と何かをしたいシニアが出会い、意識啓発をするような場づくりを3年前から始めています。戸枝さんのような現場の状況や思いを話してくれる人とシニア層が直接出会う場をつくり、現場を見せていくことで児童虐待や不登校について知っていただくよう心掛けています。

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    認定NPO法人 長野県みらい基金 理事長
    髙橋 潤

    コーディネート・ 司会進行

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