みらいレポート | 進行中プロジェクトレポート
シルバーカフェは、地域の一人暮らしの高齢者を対象に、いつでも気軽に立ち寄れる支えあいの「寄合所」として、
松本市沢村、塩尻市広丘の2か所に開設されました。
「シルバーカフェ 沢村店」
今日は、松本市沢村店にお伺いしました。
入り口にはすてきな看板も掲げられ、窓には「各種相談を受け付けます」というディスプレイもされています。中に入るとオーナーの貞松さんが笑顔で迎えてくれました。
この日は講師をお迎えしての勉強会。内容は「相続」と「家族信託」です。
シルバーカフェを利用される年代の方にとっても、とても興味のあることなので皆さん、熱心に聞き入っています。
テーブルの上には、資料と共に、お茶とお菓子、煮物の小皿が並んでいます。ひととおりのお話の後、講師に質問する時間では、自分の場合はどうなるのか?といった具体的な相談も出ていました。
「いつでも気軽に立ち寄れるカフェとして」
シルバーカフェは勉強会ばかりではありません。平日は10時から17時まで、毎日営業していていつでも気軽に立ち寄れることも、魅力の一つです。
高齢化社会の中で、息子さん、娘さんが遠く離れて暮らしていたり、同居していても昼間は一人でいるお年寄りは、年々増えています。おしゃべりの相手もなく、さびしい思いをして、楽しみも少ないのが現状です。そんなお年寄りの不安や寂しさを少しでもなくし、元気でいてもらうために、地域の中で何らかの手段で支えることはできないか?という思いがあったそうです。
「生まれ育った地域への恩返しがしたい」
シルバーカフェ代表 松本政経塾塾長 株式会社成進社代表取締役 北原修さんにお話を伺いました。
-シルバーカフェはいつから始まったのですか?
北原:一人暮らしのお年寄りばかりでなく、地域で高齢者をどのように支えるか、は大変重要です。長野県の地域支えあい体制づくり事業として、2012年に誕生しました。
-どのような思いで始められたのでしょうか?
北原:数年前から「松本政経塾」という勉強会を行っています。
様々な分野の方が集まり、地域で困っていることなどを話し合ううちに、待ったなしの高齢者問題が上がりました。地方では、一人暮らしや高齢者同士の世帯が増えています。実際、私もこの地に生まれ育ったのですが、今は本当に隣近所の関係が薄れています。一人暮らしの父も心配な状況で、実家であるこの場所を利用して、何か恩返しができないかと、考えました。
「開店記念品のおいしいかぼちゃが残って・・・」
もちろん、最初は「シルバーカフェ」って何?というところから始めました。チラシを作って、近隣の一軒一軒、ポストに入れて周ったり、オープンイベントには朝日村のおいしいかぼちゃを、無料でお配りしようと準備したのですが、結局大量のかぼちゃが残ってしまいました。これは悲しかったですね。立ち上げから参加されている利用者の方にも協力して頂き、口コミで広めてもらうなど、なんでもやりました。
「人気のイベントも、ためになる勉強会もたくさん」
北原:今はおかげさまで、毎日のように利用したくださる方も、遠くから来て下さる方も増えています。
イベント的に企画している、歌声カフェや、パソコン、簡単な英会話教室などを楽しみにしている方もいます。
また、先ほどのように相続対策、エンディングノートの書き方、認知症予防などの勉強会も定期的に開催しています。
今、力を入れているのは「特殊詐欺」を防止することですね。独自の勉強会を開いたり、啓発のためにシールやハガキを作って、
お年寄りにお配りしています。
「みなさん笑顔でお話が弾みます。」
今日、この勉強会に参加された方にも、お話をうかがいました。
―ここに来ると、誰かと話ができるし、勉強もできていいです。
―お互いが気になるようになって、来てない日などは、「どうしたのかね?」と心配もします。何十年ぶりにここで再開した人もいて、また、仲良くしています。
ーとにかく、オーナーの人柄が良いですね。安心して来られます。いつでもいてくれて、話を聞いてくれて、それがなによりじゃないですか。
「オーナーの笑顔が、シルバーカフェの笑顔を運ぶ。」
オーナーの貞松さんは、先ほどより皆さんにお茶を配ったり、講師のお見送りをしたり、忙しく働いています。
店内には、今月のイベントスケジュールが貼られ、いろんなこだわりグッズも販売されています。テーブルには秋らしいコスモスも飾られて、居心地の良いリビングのようです。毎日切り盛りしている貞松さんは、どんな方なのでしょう?
-シルバーカフェのやりがいはなんですか?
貞松:私は、人のお話を聞くのが好きなんです。ふらっと来て頂いて、お茶を飲みながら、お話ししていかれる、そんな場所ですね。利用している方同志がお話しているのを聞くのも楽しいです。
そんな気の利いたことでなくても、みんなで話すと盛り上がります。
先日はどなたかが持ってきたゴーヤー一本から、料理法はどうする、こうしたらおいしかった、育て方はどうだった?と話が広がって知識が増えました。私の方が勉強になることが多いです。
ここで知り合った同志が、得意な分野での先生になったり、教えてもらえる生徒になったりと、一人でいるより数倍に広がりますね。
-そんな中でのご苦労はありますか?
北原:シルバーカフェは、毎回300円の利用料金を頂いています。
オーナーの人件費は利用料金と、賛同して頂く企業さんからの寄付金で支払っています。しかしながら、貞松さんが一か月フルタイムで働くのに、十分な金額ではありません。利用されている方は、勉強会もイベントも、楽しんでいますが、何より、この場所があること、貞松さんがいてくれることが一番なんです。こういったコミュニティカフェは、これから、もっともっと必要になってくると思っています。
請け負って活動する町会の役員ではなく、企業が仕掛けるサービスでもない、気さくなオーナーのいる地域の寄合所として、皆さんの安心を守っていきたいと思います。ぜひ、一口でもご支援頂けたら、ありがたいです。
地域で見守り、支え合う、今日も笑い声が響く「シルバーカフェ」
すてきな笑顔のオーナーと、生まれ育った地域に恩返しをしたい代表と、仲間みんなで支えているシルバーカフェを応援してください。